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真辺 健太郎; 佐藤 薫; 高橋 史明
JAEA-Data/Code 2016-013, 48 Pages, 2016/12
国際放射線防護委員会ICRPは、2007年勧告において、コーカソイドの身体的特性を備えた男女別のボクセルファントムに基づく等価線量の男女平均値に組織加重係数を適用し、実効線量を評価することとした。内部被ばくに対する線量評価で必須の比吸収割合SAFは、その算出に使用するファントムの体重や臓器質量に依存する。したがって、今後ICRPが公開する2007年勧告対応の線量係数(放射性核種1Bq摂取あたりの預託実効線量)は、コーカソイドの身体的特性が反映されたSAFに基づき評価され、かつ男女平均されたものとなる。一方、成人日本人は成人コーカソイドに比べて小柄であり、臓器質量の特徴も異なる。ICRPの線量係数を日本人の放射線防護の目的に利用するにあたり、人種による身体的特性の違いが線量係数に及ぼす影響について把握することは重要である。本研究では、平均的成人日本人女性ファントムJF-103を汎用放射線輸送計算コードMCNPX2.6.0に組み込み、67個の線源領域と42個の標的臓器の組合せについて、10keVから10MeVの範囲の25種類の単色光子及び電子に対するSAFを計算した。本報告書のデータと、先に公開した平均的成人日本人男性ファントムJM-103の光子及び電子SAFデータを用いることにより、光子及び電子以外の放射線を放出しない放射性核種の摂取に対し、成人日本人の平均的な特性を反映させた性別毎及び性平均の線量係数を算出するためのSAFデータが整備された。
木名瀬 栄
no journal, ,
本研究では、ICRPボクセルモデルを対象とするSAFデータを参照可能な構造とした、ICRPの最新の核データを用いた内部被ばく臓器S値(mGy/Bq・s)評価コードを開発した。開発したコードにモンテカルロ計算により評価したICRPボクセルモデルの光子/電子SAFを入力し、放射性ヨウ素131に対する甲状腺S値(自己吸収)を評価した。その結果、成人男性モデルは1.610mGy/Bq・s、成人女性モデルは1.810 mGy/Bq・sであり、これまで放射線防護上用いられてきたMIRDの値(1.6110mGy/Bq・s)と同程度であることを確認した。
真辺 健太郎; 高橋 史明; 佐藤 薫
no journal, ,
原子力機構では、国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告に対応した内部被ばく線量評価を実施可能とするため、最新の線量評価用のモデルやデータを実装した計算プログラムの開発を進めている。現在、2007年勧告に対応したモデルやデータとして、核崩壊データ、成人の男女別比吸収割合(SAF)データ、並びに放射線加重係数及び組織加重係数が公開されている。本プログラムは、これらをすべて実装しており、成人の男女別放射線加重S係数(以下、S係数と呼ぶ。)の算出が可能となっている。本プログラムを用いて、2007年勧告及び1990年勧告に対応した成人男性に対するIによる甲状腺の自己吸収S係数を試算したところ、それぞれ1.310 Sv/decay、及び1.610 Sv/decayとなり、約18%減少することが明らかになった。これは、新しいSAFでは、自己吸収の場合、組織に含まれる血液の質量を考慮した補正が行われたためである。本発表では、線量評価プログラムの開発状況や、試算結果及び考察について報告する。
真辺 健太郎; 佐藤 薫; 高橋 史明
no journal, ,
実効線量係数とは放射性核種1Bq摂取当りの預託実効線量であり、内部被ばくの線量評価や防護基準値の設定における基礎的な値である。本研究では、内部被ばく線量評価コードの開発の中で、国際放射線防護委員会(ICRP)が2007年勧告に従い整備した最新の線量評価用のモデル及びデータを用いる実効線量係数計算機能を開発した。実効線量係数の計算手順の概要はICRP刊行物にまとめられているものの、体内放射能計算における常微分方程式の解法や、SAFデータの内挿方法等、具体的な計算手法は明記されていない。そこで、種々の手法を用いて実効線量係数を評価し、ICRPのデータベースに収録された実効線量係数をよく再現する手法を選択した。当日の発表では、本機能に基づく計算結果とデータベース収録値の比較結果や、選択した手法の妥当性について報告する。